日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
Aspergillus oryzae W-1のアルカリプロテアーゼインヒビター失活化酵素の精製と性質
石原 昌信盛根 信也片山 寿雄儀間 朝頼平良 東紀多和田 真吉小波本 直忠
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 50 巻 12 号 p. 578-581

詳細
抄録

Aspergillus oryzae W-1起源のアルカリプロテアーゼインヒビター失活化酵素(AIE)は各種カラムクロマトグラフィーにより均一に精製された.本酵素の分子量は,SDS-PAGE法により約42KDaと算出され,等電点は4.7であった.本酵素の至適pHは6付近であり,至適温度は55°C付近であった.酵素は40°Cまでの温度やpH6∼10の範囲で比較的安定であった.本酵素は,トリプシンインヒビター,ロイペプチン,PMSFなどのインヒビターでは阻害されないが,HgCl2p-CMBでは阻害された.本酵素はEDTAやオルトフェナントロリン等のキレート剤でも顕著に阻害された.しかし,HgCl2処理酵素は2-ME添加で活性が回復した.一方,EDTA処理酵素は2-ME存在下でCaCl2を添加すると活性の回復が認められた.プロテアーゼ-インヒビター複合体にAIEをpH5,37°Cで作用させると,アルカリプロテアーゼ(AP)の活性化が認められた.これらの結果から,AIEは細胞内でAPの活性化に寄与するものと推測された.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top