日本食品科学工学会誌
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マウス脾臓リンパ球の抗体産生に及ぼす食品タンパク質およびペプチドの影響
岡本 威明吉見 一真立花 宏文山田 耕路
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2003 年 50 巻 2 号 p. 72-77

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抄録

マウス脾臓リンパ球の増殖および抗体産生に及ぼすカゼイン,ホエータンパク質,大豆タンパク質,小麦グルテンおよびペプチドの影響について検討した.牛β-カゼインは,マウス脾臓リンパ球のIgA,IgGおよびIgM産生を添加用量依存的に増強した.また,カゼイン由来ペプチドはIgA産生を増強し,小麦グルテン由来ペプチドはIgA,IgGおよびIgM産生を増強した.一方,ホエー,大豆タンパク質およびペプチドには脾臓リンパ球に対する抗体産生増強効果は認められなかった.また,β-カゼイン刺激により脾臓リンパ球における抗体産生細胞数の割合の増加が認められた.したがって,β-カゼインの抗体産生増強効果の発現には抗体産生細胞数の増加が関与することが示唆された.しかし,カゼイン由来ペプチド刺激による抗体産生細胞数の変化は認められず,カゼイン由来ペプチドのIgA産生増強効果には抗体産生細胞数の変化は関与していないことが示唆された.これらの結果より,カゼインおよび小麦グルテン由来ペプチドは生体内での免疫調節機能が期待され,免疫調節食品素材として利用できると思われる.

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