日本食品科学工学会誌
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水/エタノール系における不飽和脂肪酸の酸化に及ぼすトレハロースの影響
奥 和之黒瀬 真弓久保田 倫夫福田 恵温栗本 雅司辻阪 好夫櫻井 実
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2003 年 50 巻 3 号 p. 133-137

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抄録

本研究では,水/エタノール溶液系での不飽和脂肪酸自動酸化に及ぼすトレハロース添加の影響について,1)不飽和脂肪酸からのヒドロペルオキシド(HPOD)生成過程および,2)HPODの分解,アルデヒド生成過程を検討し,トレハロースの脂質酸化抑制作用を考察した.
1) リノール酸(LA)からのHPOD生成はトレハロース添加濃度に応じて減少し,反応14日目のHPOD量は,トレハロース終濃度7.3mMでは2.57mg/gLA,14.6mMでは1.87mg/gLA,29.2mMでは1.28mg/gLAであった.一方,α-リノレン酸(LNA)からのHPOD生成量もLAと同様にトレハロース添加濃度に応じて減少し,トレハロース終濃度7.3mMでは7.80mg/gLNA,14.6mMでは6.30mg/gLNA,29.2mMでは4.50mg/gLNAであった.糖アルコールであるマルチトール添加系のHPOD生成量もトレハロース添加系と同様に低値であった.
2) トレハロースおよびマルチトールによるHPOD分解およびHPODからの揮発性アルデヒド生成抑制作用は弱かった.
以上の結果から,トレハロースは不飽和脂肪酸からHPODを生成する酸化初期反応を抑制することが示唆された.

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