日本食品科学工学会誌
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野草抽出物によるEscherichia coli, Staphylococcus aureusおよびBacillus subtilisの生育抑制
浦部 貴美子北尾 幸子香山 佳代子灘本 知憲川村 正純西川 善之
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2003 年 50 巻 8 号 p. 350-355

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抄録

滋賀県彦根市内に自生している野草を対象として抗菌力の有無を探索し,さらに抗菌活性を比較検討することにより,E.coli,S.aureus,B.subtilisに対する生育抑制効果の高い野草を見いだすことを目的として本研究を行った.
一定量の試料を含んだ1.5%(w/v)寒天含有ブイヨン平板培地に接種菌液を注入し,37°Cで20時間静置培養後,菌の生育を試料無添加のコントロールと比較し,抗菌力を判定した.1%(w/v)添加による抗菌力試験では,野草27種のうち新鮮物試料13種,乾燥物試料11種に強い抗菌効果が認められ,ハハコグサやイタドリなど古くから食用とされているものも多くあった.また,キク科植物9種のうち,6種が1種以上の菌に対して強い抗菌力を示し,頻度高く抗菌性の高い野草が存在していた.
抗菌力の大きい野草の抗菌活性をMICにより比較した結果,オオニシキソウが新鮮物,乾燥物ともにいずれの菌に対しても著しく大きい生育抑制効果を示した.このオオニシキソウの抗菌性に関与している物質は,主に酸性画分とフェノール性画分に含まれると考えられた.中でもS.aureusに対する両画分の抗菌活性はメタノール抽出物の4倍の値を示し,それらが精製されていない粗分画物であることを考慮すると,抗菌性物質である没食子酸に匹敵するほどの強い抗菌力を有していると推測された.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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