日本食品科学工学会誌
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アセチル化リン酸架橋澱粉糊化液の流動特性に与える澱粉の化学変性程度の影響
朝田 仁鈴木 寛一
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2004 年 51 巻 11 号 p. 613-619

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抄録

ワキシーコーンスターチを由来澱粉として,アセチル置換度を一定にし,リン酸架橋度を段階的に変えたアセチルリン酸架橋澱粉を試作し,澱粉の化学変性処理が,その澱粉糊化液の流動特性(レオロジー)に与える影響を検討した結果,以下の知見を得た.
(1) 天然澱粉にリン酸架橋すると,1.21×10-4%(w/w)の微量の架橋リン含量で,その糊化液の流動特性などのレオロジー特性は大きく変化した.
(2) 流動特性を流動パラメータで評価すると,リン酸架橋澱粉の糊化液は,架橋リン含量に伴ってパラメータは減少した.特に,架橋リン酸含量の増加に従ってコンシステンシー係数Kとみかけ粘度μaの常用対数値logKとlogμaは,架橋リン含量に従って減少した.
(3) 架橋リン酸含量が9.00×10-4%(w/w)以上になると,糊化澱粉の膨潤抑制が強くなり,コンシステンシー係数Kとみかけ粘度μaの架橋リン酸含量に対する減少割合は小さくなった.
(4) 澱粉糊化液の流動特性は,リン酸架橋の程度に大きく影響を受けることがわかった.

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