日本食品科学工学会誌
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米飯の老化熱とテクスチャーとの関係
貝沼 やす子佐原 秀子原田 茂治
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2004 年 51 巻 12 号 p. 665-671

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抄録

伝導型微少熱量計を用いて米飯の老化熱を測定し,テクスチャーデータと比較検討した.米飯(ひとめぼれ)の25°C保存では,かたさや付着性の値の変化は小さく,老化熱も見いだせなかった.10°Cの保存では,
(1) 老化熱曲線は,炊飯後16∼25時間後にピークをもち,漸近的にベースラインに近づいた.発熱ピークの主要な部分は保存後3日以内に存在した.
(2) かたさ,もろさの出現率,付着性,凝集性が最初の数日で著しく変化し,その後の変化は緩やかであった.
(3) 炊飯直後の糊化の程度が同じと考えられる試料では,老化熱とかたさ応力の経時変化が極めてよく対応していた.
(4) 米飯用乳化油脂やショ糖脂肪酸エステルを加えた炊飯米では,ひとめぼれ標準炊飯米に比較して老化熱が小さく,かたさの増加する割合も小さかった.
(5) 食味上位米とされるコシヒカリは米飯粒表層部の硬化が緩やかであり,老化熱も小さく測定された.

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