日本食品科学工学会誌
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缶無菌充填および熱間充填での酸素含有量の違いによるモデル液のL-アスコルビン酸の変化
橋本 浩二鈴木 健渡辺 悦生
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2004 年 51 巻 4 号 p. 191-195

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抄録

近年無菌充填法で製造される製品が増加する中,できる限り美味しい状態で消費者の手に渡すことのできる商品を提供する必要が望まれる.今回,脱イオン水にクエン酸とL-アスコルビン酸を溶解させたモデル液を作成し,無菌充填法と従来の熱間充填法を用いて封入酸素量を変化させ缶に充填しL-アスコルビン酸の変化量を調査し,できる限り美味しい状態の製品を供給する方法を探索した.その結果,(1)従来の熱間充填法ではそれ程問題にならなかった溶存酸素の除去が無菌充填法ではL-アスコルビン酸の保持の上で必須であることがわかった.(2)L-アスコルビン酸の減少速度は封入酸素の多い場合には初期に早く,封入酸素が消費されてからは遅い2段階の反応になった.従って脱酸素処理により溶存酸素を除去し,ヘッドスペース部の酸素量をできる限り低下させ,無菌充填する事.また,長期貯蔵には光および酸素遮断性の優れる缶等の容器に充填し製造することが最も良い結果であった.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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