日本食品科学工学会誌
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甜茶抽出物のアリルメチルスルフィドに対する消臭効果
清水 和正前田 裕一大澤 謙二志村 進
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2004 年 51 巻 4 号 p. 205-209

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抄録

アリルメチルスルフィド(AMS)に対して消臭効果を有する植物抽出物の探索を目的として,消臭活性スクリーニングを行い,以下の知見を得た.
(1) 各種植物抽出物を用いてAMSに対する消臭活性評価を行った結果,甜茶,ヤマモモ樹皮,ユーカリ葉の水抽出物は高い消臭活性を示した.
(2) 消臭活性の最も高い甜茶水抽出物(RSW)に対して脱ポリフェノール処理を行い,処理物中のポリフェノール含量と消臭活性を調べた結果,両者の間には高い相関性が認められた.また,RSWの分画により得られたポリフェノール高含有画分において,高い消臭活性が認められたことから,甜茶の消臭効果にはポリフェノール成分が関与していることが明らかとなった.
(3) ガスクロマトグラフを用いて活性画分RSW-24とAMSとの消臭反応後の生成物を分析したところ,アリルメチルスルホキシド(AMSO)が検出された.
(4) 嫌気条件下で甜茶分画物によるAMS消臭試験を行った結果,AMS消臭反応には酸素が必要であることが明らかとなったことから,甜茶の消臭反応としてポリフェノール成分存在下でAMSが酸化され,AMSOへ変換する反応機構が推定された.

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