日本食品科学工学会誌
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そば切りの水回し工程の解析
そば切りの品質評価試験法の開発(第1報)
堀金 彰山田 純代引地 良行大場 聖司松倉 潮今井 徹
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2004 年 51 巻 7 号 p. 346-351

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抄録

そば切りは乾燥に弱いため,空調された実験室において十割そばを調製することは困難である.本研究では,そば本来の食感や風味を損なわない十割そばの品質評価法を開発するため,水回し工程における加水の均質化の経時変化を磁気共鳴画像診断(MRI)法および物性試験で解析した.そば全粒粉の加水物を原料とし,水回し器具を用いて経時的な試験を行った結果,水回し3分間で混和物の塊状物の形成が進むとともに手に対する負荷が大きくなり,クリープ試験の粘性も増加した(Fig.9).MRI測定では,プロトン磁気共鳴画像における水分分布の均一性が認められ,縦緩和時間(T1)が大きく低下した.物性試験では,クリープコンプライアンス曲線が上昇した.しかし3∼4分間における変化は殆ど認められなかった.したがって,水回し工程は,本法では3分間で完了することが明らかとなり,十割そばの研究室内における品質評価への応用が期待できる.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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