日中言語文化
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羅祖の伝説における一考察
「羅祖退番兵」を中心として
夏 雨
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キーワード: 羅祖, 宝巻
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 15 巻 p. 51-64

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抄録
羅教は明代成化年間に創立された民間宗教であり、明清時代の民間宗教に画期的な影響を与えた。創立者の羅祖 は、謎に包まれ、未だに明らかにされていない部分が多い。歴史上に実在した羅祖とは別に、羅祖に関する伝説は多くの地域に広まった。そのうち、羅教の信者が創作した羅教の起源に関する神話もある。中でも、「羅祖退番兵(羅祖が番兵を退けた)」という伝説は広く知られている。実際、この伝説は羅教の信者が文学作品から影響を受け、戯曲や小説から素材を取り入れて創作したものである。その創作過程を明らかにすることで、羅教の信者自身がどのように歴史を構築し、どのような意識を持っていたかを垣間見ることができる。そこで、本論では「羅祖退番兵」という伝説の形成過程を分析し、それが創作された源流を探り、ひいては、信者の羅教に対する意識を明らかにしたい。
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