日大医学雑誌
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特集
免疫制御療法とリウマチ膠原病疾患
北村 登
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2017 年 76 巻 1 号 p. 24-27

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抄録

免疫抑制薬は副腎皮質ステロイド薬での治療で不十分な時に使用されていたが,近年は生物学的製剤や分子標的製剤も加わり,それぞれの疾患において使用法が報告され効果を挙げている.現在リウマチ膠原病疾患において使用される免疫抑制薬は,合成免疫抑制薬,生物学的製剤,低分子標的製剤に大別でき,合成免疫抑制薬は,シクロフォスファミド,アザチオプリン,メソトレキサート(MTX),シクロスポリン,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチル(MMF),ミゾリビン等が,生物学的製剤はTNFα 阻害薬,IL-6 阻害薬,CTLA-4-Ig,CD20 阻害薬が,低分子標的製剤はJAK 阻害薬であるトファシチニブが使用されている.各疾患別では,全身性エリテマトーデスはシクロフォスファミドやMMF が第一選択薬でタクロリムスやミゾリビンも用いられる.関節リウマチはMTX がアンカードラッグとして使用されるが,現在はTNFα 阻害薬,IL-6 阻害薬,CTLA-4-Ig も積極的に使われる.低分子標的製剤のトファシチニブも使用されるが,有害事象管理の観点から,まだ使用頻度は多くない.間質性肺炎合併の皮膚筋炎/ 多発性筋炎はタクロリムスやシクロフォスファミドパルス療法が効果的である.その他の膠原病にも使用されるが,エビデンスレベルに至らないものもあり,今後の研究に期待される.

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