2022 年 81 巻 3 号 p. 147-150
症例は 65 歳,男性.早期胃癌の診断で Endoscopic Submucosal Dissection (ESD) を施行し,eCuraC-2 となっ たために,腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.術中に Adachi VI 型の総肝動脈走行異常を認めたが,術前 CT にて血管構築を確認していたため,術中合併症なく手術 施行可能であった.Adachi VI 型では総肝動脈の腹側に 門脈が存在し,膵上縁のリンパ節郭清時に総肝動脈をメ ルクマールとすることができず,また門脈損傷に注意が 必要となる.術前に血管走行の破格を認識することが, 安全に手術を行う上で,極めて重要であると考えられた.