2013 年 50 巻 p. 18-23
結合特異値分解を用いてDEM(Digital Elevation Model)の未知点を補間する方法を提案する. 結合特異値分解は,多重画像での画像内と画像間の両方の冗長性を圧縮する方法である.本稿でこの多重画像の圧縮をDEMに応用するに当たり,DEMをブロック分割して,各ブロックを多重画像の各画像に対応づける.このとき,ブロック内の冗長性はブロック内の相関に基づいた特異値分解によって圧縮され,地形の主要な特徴を表現することになる.一方,ブロック間の冗長性はブロック間の相関に基づいて圧縮され,類似したブロックが多いほど地形の特徴を表現しやすくなる.一般的に,冗長性の圧縮と再現性はトレードオフの関係にある.提案法は,結合特異値分解を用いてDEMの冗長性を圧縮し,その後復元したDEMの未知点の標高を求める.提案法によって再現される未知点の標高は,主要な地形の特徴によって補間されることになる. 提案法の有効性を評価するために,国土地理院発行の「数値地図5mメッシュ(標高)」を用いた実験を行った.このとき,DEM の未知点を8近傍平均で補間する方法,距離重み付き平均で補間する方法,特異値分解を用いて補間する方法による実験も行い,提案法の実験結果と比較した.