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理論と方法
Vol. 10 (1995) No. 1 p. 15-30

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http://doi.org/10.11218/ojjams.10.15

原著論文

 オイゲン・エールリッヒの著作『権利能力論』は、権利を論じた古典的な著作の一つである。本稿ではこの『権利能力論』の中心的命題を明らかにすることを試みる。まず、この著作の考察の中心は、1.生ける法の上での権利能力であり、2.しかも財産権に関するものであることを述べる。その後、このような権利能力の布置状況を規定する(とエールリッヒが論じていると解釈できる)要因として、1.家父長制、2.世帯と経済の独立、3.個人主義、の三つを挙げる。この3つの要因と権利能力の布置状況との間の関係を明確にするために、ブール代数分析を行う。ブール代数分析が『権利能力論』のような帰納法的な議論のフォーマリゼーションに有効であることを述べたあと、真理表を構成する。さらにそれをもとにして、ブール式を作る。真理表が完全でないことから、いくつかの仮説が構成出来るが、個人主義の影響を重視する仮説1と、世帯と経済の独立の影響を重要視する仮説2を、重点的に考察する。その結果、仮説の単純さと解釈上の理由から仮説2を支持する。最後に、権利能力とは、本質的には諸個人の間を秩序づけるルールではなく、‹社会・経済的な単位となる集団›の間を秩序づけるルールであることを示唆する。

Copyright © 1995 数理社会学会

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