理論と方法
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特集 性別分業とジェンダーの計量分析
階級・階層、結婚とジェンダー
─結婚に至る階層結合パターン─
白波瀬 佐和子
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1999 年 14 巻 1 号 p. 5-18

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抄録

 本研究の主たる目的は、様々な社会的背景を持つ一組の男女が結婚に至る階層結合のパターンを検討することにある。社会的背景として出身階級と学歴に焦点をあてて、前者を属性的背景、後者を業績的背景とした。ここでの分析は大きく分けて2段階からなっており、(1)社会的背景と結婚に至る関係に着目し、未婚の割合を出身階級・学歴別に時系列的に検討し、(2)結婚した者のなかで、男女の社会的背景の結びつきがどのように変化していったのか検討した。
 まず、未婚の割合について、男性の未婚割合は出身階級と関連し、女性の場合は学歴との関係が強い傾向にあることは見いだせた。しかし、一貫した時系列的な変化及び明らかな男女未婚者間での出身階級別、学歴別ミスマッチのパターンは認められなかった。社会的背景の結合パターンについて、同類婚的結びつきが一貫して優勢で、特に高学歴者同士と低学歴者同士が結びつく同類婚が顕著であった。配偶者選択における教育の持つ意味は高く、教育が配偶者選択の幅を広めるというよりは、特に高学歴同士、低学歴同士での同類婚的結合を促す役割を持ち合わせていた。

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© 1999 数理社会学会
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