理論と方法
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特集III 実証の姿 その思想と展開
「実証主義」の興亡
―科学哲学の視点から―
野家 啓一
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2001 年 16 巻 1 号 p. 3-17

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抄録

 「実証主義」および「実証的方法」の起源、歴史的展開、現状を科学史・科学哲学の観点から概観する。科学における実証的方法は、17世紀の科学革命を推進した「実験哲学」の精神に由来し、19世紀半ばに「観察-実験」および「検証-反証」の手続きを組み合わせた「仮説演繹法」として定式化された。社会科学の領域に実証的方法が導入され、古典的実証主義が成立するのも、この19世紀半ばのことである。20世紀に入ると、「論理実証主義」を標榜するウィーン学団が「統一科学」を目標に掲げ、自然科学と社会科学の方法的統合を試みた。しかし、物理学の統一言語によって社会科学をも自然科学に同化吸収しようとするラディカルな還元主義は、種々の困難から中途で挫折せざるをえなかった。論理実証主義に代わって登場した「ポスト実証主義」の潮流は、「観察の理論負荷性」や「決定実験の不可能性」などのテーゼを提起することによって、「実証性」の理解に重大な変更を迫った。それを踏まえるならば、自然科学と社会科学の関係もまた、「階層関係」ではなく「多元的共存」の形で捉え直されねばならない。

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© 2001 数理社会学会
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