科学計量学の分野では,科学者数や科学論文数などの指標が、指数関数的あるいはロジスティック曲線であらわされるような成長をすることは早くから知られていた。他方で、T・クーンによれば科学史の展開過程は、パラダイム革命→成熟→変則事例の出現→危機→パラダイム革命、のように周期的な変動として描かれる。本稿の目的は、学会の入退会者数のデータから示唆される数理社会学研究の動態について、この2つの見方を統合する数理モデルを構築することである。
モデルの構成要素は研究の可能性とアポリアであり、これらが相互作用することによって、研究組織の成長過程を規定すると考える。定式化は微分方程式により、解をシミュレートし観測結果との対照を行なう。