理論と方法
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特集 社会学におけるクラスター分析と多次元尺度構成法
階層帰属意識と生活意識
中尾 啓子
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2002 年 17 巻 2 号 p. 135-149

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抄録

 階層帰属意識の規定要因に関する先行研究によると、個人の階層的地位とともに生活水準に関する意識が主要な要因とされている。本稿では、「上」・「中」・「下」などの階層帰属意識のカテゴリーとして判断される階層帰属意識には、階層的地位についての自己評価と生活水準に関する意識の双方が相互に関連しながら反映されている様相を追究する。クラスター分析手法を用いて2000年度JGSS調査データを分析した結果、自己地位の評価と生活意識に関して共通した意識パターンをもつ人々からなるクラスターが導きだされた。そして、それらはそれぞれ異なった意識パターンを共有し、さらに「上」・「中」・「下」といった帰属階層と対応するクラスターであることが示された。本稿では、これらの結果に基づいて、クラスターに共有されるパターンからそれぞれの帰属階層に特有の意識を解釈していく。

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© 2002 数理社会学会
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