理論と方法
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特集 社会階層論の理論的展開
戦後日本における階層帰属意識のダイナミクス
数土 直紀
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2009 年 24 巻 1 号 p. 41-56

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抄録

 階層帰属意識は、日本の社会階層研究において、とりわけ理論的に探求されることの多かった主題である。その代表的な事例として、ファラロ=高坂モデルを指摘することができるだろう。しかし、ファラロ=高坂モデルはある一時点での階層帰属意識分布を問題にしており、構造変動にともなって、それがどのように変化するのかといったことは議論していない。そこで本稿では、この欠を補うべく、階層帰属意識分布の変化の背後にあるメカニズムを理論的に明らかにすることを試みた。その結果、“親の職業的地位を継承している個人は、自身の職業的地位が指示する階層的地位により強くコミットしている”ことを仮定することで、いっけんすると対応関係を欠いていたかのように観察された“職業構造の変動と階層帰属意識の変化”の関係を合理的に説明できることが明らかにされた。そして同時に、そのようなメカニズムの存在を、SSM調査データによって実証的に確認できることも明らかにした。

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© 2009 数理社会学会
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