本稿は,法学・法社会学におけるコンピュータ支援調査の展望を示す.CAPI,CATI,CASIというコンピュータ支援調査の3類型に共通する,質問票の電子化の一般的な利点には,ヒューマンエラーと調査実施後の時間的・金銭的コストの削減がある.CASIの変形としてのインターネット調査サービスについては,調査対象者の抽出を調査機関の手持ちの登録済みモニターから行う点に特徴があり,これが有益な用途も存在する.これらの利点の恩恵は,法学・法社会学の領域での社会調査にも及びうる.特に,センシティヴな問題についての回答誤差の減少,複雑な質問票を用いた自記式調査での誤回答・不正規回答の防止の利点が大きい.実際の社会調査での利用はまだ端緒段階であるが,調査方法の違いによる回答のズレが明らかになっており,従来型調査,CAI,インターネット調査を並列で行うなど方法論的な視点も入れた実証研究が必要とされている.