理論と方法
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特集 計量的手法の応用と開発
マクロ変数の計量
杉万 俊夫矢守 克也
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1993 年 8 巻 2 号 p. 183-197

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抄録

 社会学におけるデータは、ミクロ(個人)変数に関するデータとマクロ(集合体)変数に関するデータに大別され、さらに、後者は、集合体を構成する個々人のデータから、集計、導出される「集計データ」と、個々人のデータからは導出できない、一つの全体としての集合体に固有の「集合データ」に分類される。本稿では、「集合データ」の収集方法として、これまでに考案、開発されてきた方法を、(1) 個人データの集計・加工によって導出される集合データ、(2) 個人間の関係データに基づいて導出される集合データ、(3) 直接的集合データ、(4) 間接的集合データ、の4群に分けて概観し、現状と問題点を要約した。結論として、(3) ないし (4) に属する集合データの収集方法が不足していること、したがって、具体的なフィールドにおけるミクロ・マクロ問題を地道な観察研究を通して解明する中から、そのフィールドに特有のマクロ変数の計量方法を模索していく試みが求められることを指摘した。

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© 1993 数理社会学会
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