脳と発達
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症例報告
長期経過観察をした歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (DRPLA) の28歳女性
—歩行分析の有用性—
栗原 まな高橋 佳代子小萩沢 利孝山内 裕子井田 博幸
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2009 年 41 巻 4 号 p. 294-298

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抄録

 知的障害以外の症状が認められなかった時期より長期経過観察をした歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (DRPLA) の28歳女性を報告した. 本例の遺伝子診断に家族の了承は得られなかったが, 母と兄が剖検病理診断でDRPLAと診断されていたため, 頭部MRI・脳波・歩行分析・心理検査などを行いつつ経過を観察した. 頭部MRIでは10歳代後半より小脳萎縮が出現し, 脳波では14歳の初診時より全般性棘徐波複合が認められた. 臨床的には歩行障害とてんかんが発症した15歳をDRPLAの発症と考えた. 歩行分析では20歳代後半になって明らかな異常が認められるようになり, その後1年で歩行不能となった. 経過観察において歩行分析は有用なツールであった.

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© 2009 一般社団法人日本小児神経学会
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