Hypomyelination with atrophy of the basal ganglia and cerebellum (H-ABC) は2002年に提唱された, 基底核と小脳の進行性萎縮を伴い著明な髄鞘化不全を呈する稀な白質脳症である. 症例は重度な精神運動発達遅滞で, 著明な髄鞘化不全を呈し聴性脳幹反応でIII波以降の消失を認めたため, Pelizaeus-Merzbacher病を最も疑いフォローしていたが, PLP1遺伝子の重複を認めず, 眼振が乏しいなど不一致の点も認めていた. 経過中に進行性の基底核萎縮と小脳萎縮を認め, また, 他の著明な髄鞘化不全を示す疾患も否定的であったことより, 8歳時にH-ABCと診断した.