2010 年 42 巻 1 号 p. 45-49
症例は現在2歳の男児. 1歳時に著明な肝脾腫, 痙性麻痺, 発達退行を呈し, 血中酸性ホスファターゼ (以下ACP) とアンギオテンシン変換酵素 (以下ACE) の高値, 骨髄検査, 酵素欠損から, Gaucher病Ⅱ型と診断された. 酵素補充療法を開始したところ, 肝脾腫の改善は速やかに得られたが, 治療開始後8カ月頃から血中酸素飽和度低下を認めるようになり, 同時期に両側肺野の浸潤影が出現した. ACP, ACE値の再上昇を認めたことから原疾患による肺病変の悪化が考えられたため, 補充酵素量を増量したところ, 1カ月後に肺病変は著明に改善した. 肺病変を認めた際には高用量の酵素補充療法が有効であることが示唆された.