2010 年 42 巻 2 号 p. 134-137
われわれが進めているケミカルシャペロン療法研究の成果をまとめた. ライソゾーム病には, その変異酵素分子の構造不全のため細胞内で速やかに分解, 不活化される患者がある. 試験管内におけるこの酵素の競合阻害剤が, 細胞内では逆に蛋白質分子を安定化し, ライソゾームで安定に酵素活性を発現すること, そしてモデル動物における治療実験で臨床効果のあることを確認した. その分子機構の解明のために, β-ガラクトシダーゼ酵素分子の立体構造を計算により予測し, シャペロンとの分子反応を調べた. ライソゾームの酸性環境で酵素とシャペロンの結合が減少することを明らかにした.