2010 年 42 巻 5 号 p. 353-358
Williams症候群は認知能力のばらつきが大きく, 視覚認知でも, 背側経路の機能の障害が腹側経路のそれに比してより強いとされ, 色や形の認知と比べ視空間認知の障害をより強く認める. そのため発達途上では, 2次元図形で細かい構成要素は模写できてもそれらを適正に配置して大きな形を形作ることが出来ず, 漢字写字でも同様に部首の配置につまずきを示す等の所見を認めうる. 介入法として, 比較的得意な腹側経路の機能のひとつである色の認知を利用し, 構成要素の配置をわかりやすくするため, 4分割して下地を彩色した枠を用いる方法を試みた. 上記枠内に漢字を提示し, 同様に彩色した枠内に模写することで模写の改善を認め, 有用な方法と考えられた.