脳と発達
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一過性TSH低下を呈した新型インフルエンザA (H1N1) 脳症の1例
親里 嘉展西山 敦史足立 昌夫
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2010 年 42 巻 5 号 p. 377-379

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抄録

 意識障害のみにて発症した新型インフルエンザA (H1N1) 脳症の1例を経験した. けいれんや画像異常を認めなかったが, 意識障害の遷延と脳波所見から脳症と診断した. 発症3日目のTSH値が低かったことからステロイドパルス療法に加えTRH療法を行った. その結果, 神経学的後遺症なく治癒した.
 これまで, 脳症による意識障害の遷延に対するTRH療法の効果は報告されているが, インフルエンザ脳症の急性期にTSHを評価した報告はない. そこで, 意識障害の遷延を来した当院入院症例についてTSH等を測定した. その結果, TSHの低下は脳症に特異的なことではなかったが, 共通した病態としてnonthyroidal illnessの関与が考えられた. これまでにもnonthyroidal illnessは, その疾患の重症度・予後の指標になり得るとされている. インフルエンザ感染症においても早期からTSH等を評価する有用性を示唆する症例と考えられた.

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© 2010 一般社団法人日本小児神経学会
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