2012 年 44 巻 4 号 p. 289-294
注意欠陥/多動性障害 (以下AD/HD) 児12名, 広汎性発達障害 (以下PDD) 児12名 (7名はAD/HD症状を伴う) の計24名の母親に対してペアレントトレーニング (以下PT) を行った. PT後には, BDI-IIによる母親の抑うつ度は低下し, 養育自信度は22名で上昇が得られた. 小児行動チェックリストによる児の行動評価では全ての行動尺度において改善が得られたが, 中でも, 「ひきこもり」, 「身体的訴え」, 「攻撃的行動」, 「外向尺度」においては有意な改善が得られた. 対応に苦慮された児の行動は, 19名で改善, 5名で持続していた. PTは養育に困難を感じる親の抑うつ度を軽減すると共に, 養育自信を高め, さらに児の行動改善に有効であった.