2014 年 46 巻 1 号 p. 22-25
【目的】注意欠陥多動性障害 (ADHD) の薬物治療に徐放性methylphenidate (MPH) およびatomoxetine (ATX) が使用されるが, おのおのの薬剤の継続率を中心に調査し, 治療の現状について考察した. 【方法】ADHD, ADHD症状をもつ広汎性発達障害 (PDD) でMPHを使用した460例, ATXを使用した121例につき診断名, 継続率, 診断名別継続率, 中止例の理由, 継続例の併用薬等につき検討した. 【結果】MPH継続例は460例中275例59.8%, ATX継続例は121例中60例49.6%であった. MPHとATXを併用しているものも40例あった. PDDはATXで継続率が低かった. 【結論】MPHは効果があって中止できたものも含み, ATXは重症例に使用したため継続率が低かった. 併用が必要な例も多かった. ADHD症状を併存するPDDでもmethylphenidate徐放錠 (MPH-ER) は継続率が高く, 有用性があると考えた.