脳と発達
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シンポジウム11:ゲノムの構造・機能から見た発達障害疾患の病態理解
Rett症候群の病態理解
—病因遺伝子 (MECP2, CDKL5, FOXG1) 変異に関連した臨床的特徴について—
髙橋 悟
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2014 年 46 巻 2 号 p. 117-120

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抄録

 Rett症候群は, 主に女児に発症する神経発達障害である. その診断は, 臨床症状に基づいて行われ, 回復期や安定期が後続する神経症状の退行があることを必要要件とする. 病因遺伝子は, メチル化DNAに結合して遺伝子の転写を制御するmethyl-CpG-binding protein 2 (MECP2) をコードする. Rett症候群に類似するが異なった臨床経過を示すものを非典型的Rett症候群とよび, “早期発症てんかん型” や “先天型” が知られている. 前者の病因遺伝子は, 樹状突起棘に局在するリン酸化酵素cyclin-dependent kinase-like 5 (CDKL5) をコードしている. 後者の病因遺伝子は, 終脳の発生に重要な転写因子forkhead box G1 (FOXG1) をコードしている. このように非典型的Rett症候群の病態は, 典型的Rett症候群とは異なることを理解する必要がある.

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© 2014 一般社団法人日本小児神経学会
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