脳と発達
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シンポジウム4:発達障害はいつ形成されるか? 先天性? 後天性? あるいは両方か~発症および病態修飾のメカニズムについて~
発達障害における遺伝性要因 (先天的素因) について
神保 恵理子桃井 真里子
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2015 年 47 巻 3 号 p. 215-219

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抄録

 発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorders ; ASD) は遺伝性要因が強い疾患である. 発症には, 多数の遺伝子の関与と共に, 遺伝子×環境性要因によるエピゲノム形成が示唆される. 罹患者の約40%にゲノム異常や遺伝子変異が検出されていることから, 今後の分子遺伝学的研究の進展は, 発症機序などの解明に不可欠である. これまでの解析から, ASD候補遺伝子はシナプス恒常性に関与するものが多い. 筆者らは, ASD特異的変異が惹起するシナプス機能性蛋白のloss-of-functionに加え, gain-of-functionの存在を示してきた. ASD, さらに合併疾患にも関与する共通分子機構の解明, 治療へと繋がることを期待したい.

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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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