脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
原著論文
漸減をせずに低用量ACTH療法を終了したWest症候群の検討
—治療効果を中心に—
児玉 一男小俣 卓新井 ひでえ田邉 雄三
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 48 巻 3 号 p. 195-198

詳細
抄録

 【目的】West症候群に対する合成ACTH療法 (以下, ACTH療法と略す) において, 少量投与法で連続2週間投与後に漸減をせず終了する方法の妥当性を検討した. 【方法】2003~2012年までACTH療法を行ったWest症候群の患者44例を後方視的に検討した. ACTHの投与量は0.0125mg/kg/dayで, 投与期間は連日14日間で漸減期間を設けずに終了した. 44例 (潜因性7例, 症候性37例) で初期治療効果・発作転帰・副作用について検討した. 【結果】治療終了までにhypsarrhythmiaが消失したのは44例中42例 (95.5%), てんかん性スパズム (以下, スパズムと略す) が消失したのは37例 (84.1%), 発作消失例の発作消失までの平均投与回数は5.8回であった. 発作消失例のうち治療後の経過が観察可能であった31例中, スパズムの再発は9例 (29.0%), その他の発作型の再発は12例 (38.7%) であり, 再発までの期間はスパズムで平均2.4カ月, その他の発作型で平均8.0カ月であった. 副作用は高血圧, 感染症, 軽度の脳退縮が13例 (29.5%) で出現したが, いずれも一過性で重篤なものは認めなかった. 【結論】ACTH療法において, 少量投与で連続2週間投与後に漸減をせず終了する方法は, 初期治療効果・発作転帰について他の報告と比較して遜色のない成績であり, 妥当な方法と考えられた.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top