脳と発達
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原著論文
重症心身障害者の死亡に関する検討
尾上 幸子幸田 徳二延時 達朗渡邊 誠
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2016 年 48 巻 6 号 p. 407-412

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抄録

 【目的】重症心身障害者の長期生存例の増加に伴う死亡例の特徴の変化を調べるために, 当センターの死亡例について検討した. 【方法】対象は, 1969年4月1日から2013年3月31日の間に死亡した314例, 期間最終日に生存していた388例である. 生存率はKaplan-Meier法で求めた. 死亡例を1994年以前 (Ⅰ群) と1995年以降 (Ⅱ群) の2群に分け, 経過が24時間以内 (A群) とそれを越えたB群とし, A群の特徴を検討した. Ⅱ群において, 死亡に影響する要因, 24時間以内の死亡に影響する因子を検討した. 【結果】50%生存期間は56歳であった. 経管栄養は経口に比べ2.4倍死亡率は高かった. 経管栄養例の1/3は60歳に, 寝たきりの1/3は70歳に達した. 死因のうち24時間以内死亡はⅠ群で32% (51/157例, 平均死亡年齢18歳) からⅡ群で20% (31/157例, 40歳) へ減少, 悪性腫瘍死はⅠ群で1%であったが, 年長者が増加したⅡ群では12%を占めた. ⅠA群の年齢分布は, 20歳代までに多かったが, ⅡA群では40から50歳代に多くなり, 軽症例にも認められた. また24時間以内死亡は, 気管切開, モニターを装着していなかった, の2項目との関連が有意であった. 【結論】重症例においても長期生存例がいること, 24時間以内死亡は年長者や軽症例にも起こり得ること, 頻度は減少してきていることが示された.

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© 2016 一般社団法人日本小児神経学会
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