脳と発達
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症例報告
鼻腔栄養チューブにより喉頭蓋潰瘍を形成した重症心身障害者3例
曽根 翠吉野 綾子川原 ゆかり武田 佳子浜口 弘江添 隆範西條 晴美荒木 克仁倉田 清子
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2016 年 48 巻 6 号 p. 434-438

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抄録

 鼻腔栄養は簡便な経管栄養法として広く用いられている. 我々はビデオ内視鏡嚥下機能検査により鼻腔栄養チューブに起因すると考えられた喉頭蓋潰瘍を発見し, チューブ挿入方法の変更により改善することができた重症心身障害者3例を経験したので報告する. 症例の年齢は25歳, 39歳, 55歳で, すべて男性であった. 全例に高度の筋緊張亢進があり, 2例は高度側彎, 1例は胸椎前彎が見られた. 全例が人工呼吸器管理を受けていた. 高度側彎例は咽頭の変形も高度で, 鼻腔栄養チューブが喉頭蓋喉頭側面を斜走していた. 胸椎前彎例は栄養チューブが喉頭気管分離術を行った気管の盲端内でとぐろを巻いていた. 潰瘍は全例喉頭蓋喉頭側に形成されていた. 潰瘍形成の原因は, 高度側彎例では咽頭の変形, 胸椎前彎例では栄養チューブの気管侵入と考えられた. 栄養チューブの挿入方法を変更することにより, 全例で潰瘍は軽快した. 高度な脊柱側彎が見られる例, 高度の緊張が持続的に見られる例で鼻腔栄養チューブを使用する場合には, ビデオ内視鏡嚥下機能検査を実施して, 栄養チューブが喉頭蓋を傷つけないように挿入できる方法を確認しておくことが必要と考える.

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© 2016 一般社団法人日本小児神経学会
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