2018 年 50 巻 4 号 p. 249-252
脳機能画像研究によりアルファベット語圏の発達性読み書き障害 (developmental dyslexia ; DD) 児者においては, 左頭頂側頭移行部と左側頭葉後下部のvisual word form area (VWFA) の活動減弱が報告されている. 日本語においても, 定型発達児では親密度の高い平仮名単語に対し左紡錘回の活動を認めるが, DD児では同部位の一貫した活動が認められない. VWFAの活動は生得的なものではなく, 読字の熟達に伴い単語や文字列に特異的な反応を示すようになる. DDではこのような皮質機能の特殊化が障害される. しかし, VWFAの活動が 「熟達した読み」 のどのような側面を反映するのか, 皮質機能の特殊化の障害がなぜ起こるのかは明らかでなく, 今後の研究課題である.