脳と発達
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<シンポジウム5:日本の学習障害 ~日本の今とこれから~>
併存症, 遺伝子研究から発達性読み書き障害の病態を展望する
岡 牧郎
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2018 年 50 巻 4 号 p. 253-258

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抄録

 発達性読み書き障害 (developmental dyslexia ; DD) は, 他の発達障害をしばしば併存する. 我が国においては自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder ; ASD) の約26%, 注意欠如・多動症 (ADHD) においては30~40%の頻度でDDが併存すると報告されている. これらの併存症によりDDの臨床特性は多様になる. ASDやADHDを併存するDDの病態には, 音韻処理能力の障害に加えて実行機能の障害やワーキングメモリの障害などが存在すると考えられ, 一般的なDDと比べて異なる認知特性も有する可能性がある.

 欧米諸国では, DDの候補遺伝子部位としてDYX1からDYX9が, 候補遺伝子としてDYX1C1, ROBO1, DCDC2, KIAA0319などがこれまでに報告されている. 我が国においても今後大規模な検討が望まれる.

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© 2018 一般社団法人日本小児神経学会
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