脳と発達
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発症時に表情変化を伴わない笑い発作を呈したPallister-Hall症候群の1例
米元 耕輔鳥尾 倫子酒井 康成酒田 あゆみ大賀 正一
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2018 年 50 巻 5 号 p. 360-361

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抄録

 Pallister-Hall症候群 (PHS) は, 多指症, 視床下部過誤腫を含む多発奇形と精神運動発達遅滞を特徴とする遺伝性疾患である. 視床下部過誤腫に伴う笑い発作がてんかん発作の特徴として知られるが, 初発時の診断に苦慮する場合がある. 症例は3歳女児. 新生児期に多指症, 直腸腟前庭瘻および視床下部過誤腫が認められPHSと診断された. 生後2か月から, 表情変化のない, 咳き込み様の症状が出現し, 10か月および2歳2か月時に同症状の頻度が増加したが, 脳波上異常所見なし. 3歳時, 同様の咳き込み症状は笑い表情を伴うようになり, 症状に一致して全般性徐波が認められた. Valproateとclobazamを併用し, 笑い発作は良好にコントロールされた. 乳児期早期の笑い発作は, 必ずしも表情変化を伴わない場合がある. 笑い発作は本症例のように無治療で増減を繰り返すことがあり, 症状減少後も長期的フォローアップが必要である.

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© 2018 一般社団法人日本小児神経学会
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