脳と発達
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症例報告
典型的な頭部MRI所見を呈したL-2ヒドロキシグルタル酸尿症の小児例
山下 朋代前川 加奈美若原 珠美小出 竜雄田中 裕子三輪谷 隆史西垣 敏紀
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2022 年 54 巻 2 号 p. 126-131

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抄録

 L-2ヒドロキシグルタル酸尿症(L-2-HGA)は,けいれんや小脳失調,知的障害を呈する常染色体劣性遺伝の有機酸代謝異常症である.症例は世界中から報告されているが,本邦の論文での症例報告は4例の成人例のみである.症例は10歳女児,4歳時にけいれんと知的障害,失調性歩行を認めた.頭部MRI検査で両側前頭葉優位の皮質下白質に,T2強調像で高信号域,T1強調像で低信号域の病変を認め,さらに同様の異常信号は両側淡蒼球,歯状核にも認めた.尿中有機酸分析で2-ヒドロキシグルタル酸が上昇,L2HGDH遺伝子解析にて,NM_024884.3:c.829C>T(p.Arg277*)とc.187T>C(p.Ser63Pro)の複合ヘテロ接合変異を認め,L-2-HGAと診断した.治療としてfravin adenine dinucleotide(FAD)を投与したが,画像所見の改善はなく,下肢の痙性と企図振戦が進行した.L-2-HGAで認められる頭部MRI検査における異常所見の分布は非常に特徴的であり,診断に有用である.MRI所見から本疾患を疑うことが,早期診断にとって重要である.

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© 2022 一般社団法人日本小児神経学会
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