脳と発達
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原著論文
小児てんかん患者におけるてんかん重積状態と頻発発作に対するlorazepam静注療法の有効性と安全性
松浦 隆樹浜野 晋一郎菊池 健二郎竹田 里可子堀口 明由美野々山 葉月代田 惇朗平田 佑子小一原 玲子新津 健裕植田 育也
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2023 年 55 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

 【目的】欧米のてんかん重積ガイドラインではてんかん重積状態(status epilepticus;SE)に対して第一選択薬にlorazepam(LZP)静注が推奨されているが,本邦では小児SEに対するLZP静注療法の報告は少ない.今回,小児てんかん患者におけるSEと頻発発作(repetitive seizures;RS)に対するLZP静注療法の有効性と安全性について検討した.【方法】2019年4月から2021年11月に当センターでSEとRSに対してLZP静注療法を行った37機会(男19機会)を後方視的に検討した.年齢,病因,発作型,LZP投与量,副作用を収集し,有効群と無効群に分けて比較検討した.LZP静注後から12時間以上発作が抑制されたものを有効と定義した.【結果】LZP静注年齢は2.5(0.3~17.7)歳,病因は素因性が12機会,発作型は焦点起始両側強直間代発作が15機会と最多であった.LZP総投与量は0.050(0.045~0.112)mg/kgであり,有効例はSEが12/18機会(67%),RSが5/19機会(26%)であった.SpO2低下を1機会で認めたが,重篤な副作用は認めなかった.有効群は無効群と比較し,SEが多かった(p<0.05).【結論】LZP静注療法は小児てんかん患者のSEに対して有用であり,呼吸抑制に注意すれば安全に使用できると考えられた.

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© 2023 一般社団法人日本小児神経学会
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