大阪市立小児保健センター開所以来10年間の保健所・各種関連施設で神経病学対象児と触れあった経験を通して, またそれらの養育者の反応や構えを通じて次の問題点について乳幼児精神衛生の立場から論及した. すなわち,
1) 養育者が問題を疑い始めてから専門的診断, 治療をうける過程での問題点
2) 母子保健システムの中での神経病と早期発見の具体的システムで見出される問題点-a) man powerの問題, b) スクリーニング技術の問題, c) 自ら症状を訴えない乳幼児特性と関連する問題 (情報収集と行動評価の必要性)
3) 救命・救急医療とのかかわりの中で専門医間の連けいの問題
4) 慢性経過の中での管理と教育に関する問題
5) 精密診断治療における新しい診断治療技術の適用や新薬使用時の問題-治療をうける, または拒否する権利や医の倫理の問題について親の不安を軸に精神衛生的立場から考察した.