脳と発達
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播種性皮膚血管腫, 頭蓋骨血管腫を伴つた先天性テント上硬膜動静脈痩の1例
小林 啓志杉山 義昭外山 孚伊藤 寿介
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1978 年 10 巻 5 号 p. 403-408

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抄録

生下時より播種性皮膚血管腫と4ヵ所の頭蓋骨血管腫を伴うテント上硬膜動静脈瘻のみられた男性症例を6年間その経過を観察した. 両側中硬膜動脈と右後頭動脈と, 静脈洞交会の上方て球状に拡大した上矢状静脈洞との間に吻合があり, これより尾側の上矢状静脈洞は造影されなかった. 造影剤は上矢状静脈洞内を前方に逆流し, 拡大蛇行した上大静脈から浅中大脳静脈を経て脳底部に還流した. 島静脈も著明に拡大していた.
生後2ヵ月に気脳写, 脳室写を行ない, 閉塞性水頭症と診断され, 脳室腹腔短絡術が施行された. 7オの現在特別の心身の発育障害はなく, 元気に通学している. 硬膜動静脈瘻の血管写像の特異性を述べ, 成因および播種性血管性病変の合併につき文献的に検討を加えた.

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© 日本小児小児神経学会
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