脳と発達
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脳動脈瘤を合併した遺残性原始三叉神経動脈の1例
横山 純好溝尻 素子森下 順彦神沢 光江中村 正文奥村 司児玉 荘一
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1978 年 10 巻 6 号 p. 473-476

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抄録

小児急性片麻痺で発症し, 脳血管写により脳動脈瘤を合併した遺残性原始三叉神経動脈 (persistent primitive trigeminal artery, PTA) の存在を証明し得た2才2ヵ月の女児例を経験した. 患児は在胎中及び新生児期には特記すべき異常は認められず, 1975年7月9日に最初の大発作型痙攣発作がおこるまでは正常に発育していた. 痙攣発作後直ちに某病院に入院し治療を受けたが高熱と共に痙攣は約6時間持続し, 意識回復後に右弛緩性片麻痺と失語症を残した. 発病7日後精密検査の目的で本院に入院した. 神経学的検査では右側深部腱反射がやや減弱している以外は特に異常を認めいかった. 腰椎穿刺による脳脊髄液は正常であった. 脳波では左半球に徐波を認め, 右側に比べ低振幅であった. 頸動脈写により左PTAと左内頸動脈に2つの脳動脈瘤を認めた. 脳動脈瘤を合併したPTAは稀であり特に小児においては稀であるので症例報告をする.

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© 日本小児小児神経学会
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