1978 年 10 巻 6 号 p. 477-484
周期的い嘔吐および筋力低下を伴った3才6ヵ月の男児. 来院時心不全症状が見られ, 血清CPK 214, GOT 184, GPT 63, LDH 2650と上昇し, GOT分画ではm-GOT 115 (m/s=1.2) とミトコンドリアの障害が推測された. また高乳酸, 高ピルビン酸血症と代謝性アシドーシスがあり, 各種検査のうちアラニン負荷試験で異常を認めた. 本症例では骨格筋および肝臓のミトコンドリアの形態異常があり, 心筋症もおこし, 脳内でも同様の病態が考えられ, 全身のミトコンドリアの異常を推定した.
その後4才半で大発作型痙攣, 5才時躯幹のアタキシー, 失声, 嚥下障害, 呼吸不全が出現し軽快と増悪をくり返している.
尿でサイアミン阻害物質 (thiamine pyrophosphate-adenosine triphosphate phosphoryl transferaseのinhibitory factor) を証明し, 臨床経過と合わせてLeigh脳症を疑った1例を報告する.