ヒトの睡眠中の体動は内的要因 (中枢神経系) により統制されていると考えられている.睡眠中の体動が中枢神経系の発達によりどのように影響されるか, また睡眠のどの段階に最もよく現われるかを検討した.
睡眠中の体動は1) BMs/min: 単位睡眠時間当りの体動数, 2) %Epoch: 全睡眠時間を20秒毎のepochに区切り, 全睡眠時間中の総epoch数に対する体動のあるepochの割合, 3) %BMsT: 全睡眠時間に対する体動の占める時間の割合について分析した.全睡眠時間中の体動について, BMs/min, %Epoch, %BMsTの三者とも1ヵ月から3ヵ月の問に急速に減少し, 4ヵ月以後7ヵ月まではほぼ一定となった.7カ月以後10-12ヵ月まで再び減少し, 以後一定となった.睡眠段階別の変化について, REM睡眠では1ヵ月から3ヵ月の間に激減したあと, 4ヵ月以後も年齢の増加とともに漸減した.NREM睡眠ではBMs/min%Epochは7ヵ月までほぼ一定であったが, 以後10~12ヵ月までに急に減少し一定となった.%BMsTは10-12ヵ月まで徐々に減少し, 以後一定となった.REM睡眠での体動の変動がNREM睡眠のそれより著明であった.
以上の結果より睡眠中の体動は中枢神経系の発達の一示標となり, 中枢神経異常の診断に役立つと考えられた.