Vojta法による中枢性運動障害児の早期診断法の概要を紹介し,その問題点を論じた.Vojta法の考え方の特徴は(1)ZKS(中枢性協調障害)という概念を導入し,脳性麻痺となる前の訓練を強調したこと.(2) 姿勢反応の利用で新生児期からでもZKSの診断重軽度の判定が可能であるとし,乳児期初期からの訓練を可能にしたこと,である.一方問題点は,(1) 乳児期初期の反応はもっと複雑であり,さらに研究を要すると共に,判定も難しいものがある.(2) 姿勢反応のみに頼る危険性などである.しかし,総合診察の中で同法を用いていけば,3~4ヵ月以前に訓練必要児を診断することは可能である.訓練効果にも種々の疑問があるが,早期に合併症のあまりない児の訓練を開始すれば「正常化」も考え得る.今後の早期診断・訓練への小児神経医の参加を望みたい.