脳と発達
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先天性高アンモニア血症の1例Carbamyl phosphate synthetase低下を伴えるOrnithine transcarbamylase欠損症
松島 昭広多賀 俊明折居 忠夫松田 佳子勝沼 信彦
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1979 年 11 巻 4 号 p. 343-352

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抄録

Carbamyl phosphate synthetase (CPS) 低下を伴えるOrnithine transcarbamylase (OTC) 欠損症による先天性高アンモニア血症の6才7ヵ月女児例を報告した.
患児は4才11ヵ月頃より, 嘔吐, 夜間に興奮状態を繰り返えし認めた. 高アンモニア血症, オロット酸尿, 血清グルタミン等の上昇を認め, 肝尿素サイクルの各酵素活性では, CPS活性が対照の5%, OTC活性は2.5%と著明な低下を認めた. OTCについては酵素学的性状の検索にてmutant enzymeを示唆する結果は得られなかった. 本症例の如く, CPS活性の著明な低下を伴える例はなく, OTC欠損症のさらなる解明に貴重な症例と考える.
適当なカロリー補給と蛋白価を考慮した低蛋白食, 経口的アミノ酸投与により症状の発現阻止と血中アンモニア値のコントロールを行ない, 7才の現在, 正常な精神運動発達を認めている.
母親はアンモニア負荷試験によりheterozygous carrierを示した.

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© 日本小児小児神経学会
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