脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
小児におけるPhenobarbitalとCarbamazepineの血中濃度, ならびに, 熱性痙攣と全身痙攣型てんかんにおける有効血中濃度の検討
北條 博厚中野 省三片岡 健吉
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 11 巻 6 号 p. 502-509

詳細
抄録

小児の痙攣性疾患患者についてPhenobarbital (PB) とCarbamazepine (CBZ) の血中濃度と投与量の関係を検討した. また, 熱性痙攣と全身痙攣型てんかん患者について有効血中濃度の検討を行なって次の結果を得た.
1. PBの血中濃度 (μg/ml) /投与量 (mg/kg) 比は3才以下では3.1-3.4, 4-5才では3.88, 6才以上では5.48であった.
2. 入院患者で調べたPBの血中濃度の日内変動は比較的安定し, 2回分服, 3回分服での差はなかった.
3. CBZの血中濃度と投与量の間には一定した関係は得られなかった.
4. 入院患者でのCBZの血中濃度の日内変動は著明であり, 2回分服では1日2回の波が, 3回食後分服では1日1回の波がみられ後者は朝に谷が, 夜間に山がみられた.本剤の血中半減期が短かい差であり, 外来患者において相関がみられなかったことは採用時間により血中濃度の変動が著しい為と考えられた.
5. 熱性痙攣については, 発熱前後に採血検査した確実例を検討して16μg/ml以上が再発抑制の有効濃度と考えられた.全身痙攣性てんかんについてははっきりした結論は出せなかった.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top