1980 年 12 巻 2 号 p. 130-139
自験成績を中心に, それぞれポイントをしぼり, 血中濃度からみた小児における主要抗てんかん薬の使用上の問題点を述べた.
Phenytoin (PHT) に関しては, その特異な体内動態Michaelis-Menten kineticsならびに吸収効率 (bioavailability) の問題に触れ, さらに有効血中濃度について言及した.
Phenobarbital (PB), primidone (PRM), sodium valproate (VPA) に関しては, 熱性けいれんを対象としてそれぞれの再発予防効果, 有効血中濃度を検討し, とくにPRM, VPAについては, 合わせて体内動態の一端にも触れた.
Carbamazepine (CBZ) はPHT, PBおよびPRMとの併用により血中濃度が低下するが, 単独投与の有効性, 有効血中濃度を検討した.また, clonazepam (CZP) に関しても, 血中濃度におよぼす併用他剤の影響, 有効血中濃度について言及した.
さらに, PHTの主要代謝産物である5-(P-hydroxypheny1)-5-phenylhydantoinの尿中排泄量, PRM, CBZおよびCZPの主要代謝産物である, それぞれphenylethylmalonamide, carbamazepine-10, 11-epoxide, 7-amino-clonazepamの血中濃度を測定し, これらを測定する意義についても触れた.