脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
極小未熟児・脳室内出血の1治癒例
高木 卓爾若林 繁夫大谷 勉戸苅 創清水 国樹Tatsuya IshikawaHideyuki Kito
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 12 巻 5 号 p. 413-417

詳細
抄録

検査により新生児脳室内出血が容易に診断できるようになった.最近, 私共は極小未熟児脳室内出血の1例を経験し, 非観血的治療により治癒せしめ得た.本症例にCT検査を1週1回, 合計4回くり返して行ない, 脳室内出血の拡がり, 脳室の大きさの変動を観察した.
症例は在胎29週目に自然分娩にて出生した生下時体重1, 3009の男児である.アプガール点数は7 (1分) であった.出生後, 呻吟と四肢末端のチアノーゼがみられ, 酸素吸入が続けられた.生後4日目にヘマトクリット値が36%に低下し, 脳室内出血を疑いCT検査を行ない本症と診断した.血腫は両側脳室後角部に存在し, 中等度の脳室拡大を示した.3週目のCT所見で血腫は消失したが, やはり脳室拡大がみられた.4週目のCT像では脳室は正常大となった.なお生後4日目から19日目までに, 脳室内圧を下げ脳損傷を防止する目的で4回ほど腰椎穿刺を行なった.
本論文では一過性の脳室拡大の機序について文献的考察を加え, 本症の経過中に早期に脳室拡大を発見し, 対処することが重要であることを強調した.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top