脳と発達
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CTにより手術適応はどのように変ったか
小児科から
島田 司巳太田 茂粕渕 康郎吉岡 博
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1981 年 13 巻 2 号 p. 105-109

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抄録

小児神経領域では, CTはスクリーニング的にも応用され, 各種発作性疾患の中からも隠された占拠性病変がかなり発見されている.新生児頭蓋内出血もCTにより正確に出血部位や程度が把握され, さらに連続的な検査により脳構造の偏位や水頭症の発生を早期にとらえて, その対策が講じられるようになった.頭蓋内の炎症性疾患に対してもCTはその診断や合併症の早期発見, あるいは抗生物質療法に対する反応の評価などに威力を発揮する.CTの反復により, 化瘍性髄膜炎の硬膜下液貯溜, または膿瘍が合併し, それが進行することが判明すれば穿刺やドレナージが必要となる.脳膿瘍に対しては内科的治療の評価と限界に示唆を与えてくれる.
CTは頭蓋内の病変やその経過を, 小児科医にも理解しやすく明瞭に描出してくれるが, わずかでも手術適応が考慮される病変に対しては, 関連科と密接な連絡を保ちつつ, 加療して行くことが特に大切である.

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© 日本小児小児神経学会
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